FC2ブログ

セルフレッスン第26回:シンフォニア13番の装飾音、どうしましょう?

私が私にピアノを習う、一人二役の公開レッスン。
26回目の今回は、新たなレッスン課題、バッハシンフォニア』第13番の装飾音を中心に取り上げます。
自筆譜に載っている装飾音もあれば、別の楽譜で追記されている装飾音もあります。これらをどのように取捨選択して、「理想の13番」にしていこうかな?というテーマです。

シンフォニア13番
シンフォニア13番

「普段使っている市田版の楽譜を見ますと、ゲルバーとフリーデマンの筆写版の装飾音が追記されていて、『装飾がバロック音楽の不可欠の要素であることを念頭に、この曲あたりで奮発されてはいかがでしょう』なんて書いてあります。そう挑発的に言われてしまうと、やはり…(笑)」

先生「まずは装飾音を入れないで練習するのが定石なので、後で考えてもいいのでは?それでは納得できないって顔してますね(笑) 市田先生の言うことは原則論としてはその通りだと思います。ただ、私たちが弾いてるのはチェンバロとかクラヴィコードではなくて、あくまで現代ピアノです。どんな風に表現したいかによって変わってきます」

「しっとり、落ち着いた感じに歌わせたいです。『装飾音はカンタービレ奏法と不可分』とか書いてありますので、装飾音はできるだけ弾いた方がいいのかなぁと思ったり…」

先生「それでしたら、装飾音は控えめがいいでしょう。現代ピアノは、チェンバロやクラヴィコードよりカンタービレに強いですから。どんなふうに入れていくかの出発点は『装飾音は綺麗になるから装飾音』です。弾く人の能力でも、現代ピアノに合ってないというのでも、どんな理由であれ、綺麗にならないとか、思った通りの表情にならない場合は、入れない方がいいです。それから、機能的にというか慣習的にというか、入れるのが自然な箇所もあります。それでは、自筆譜に載っている装飾音の採否から検討していきましょか」

シンフォニア13番 13-18小節
シンフォニア13番 13-18小節

先生「この15小節の中声のトリルはどうしたらいいと思いますか?」

「ここは、イ短調のカデンツですよね。カデンツに直前にトリルが入るのは定石っぽい感じがするのですが…」

先生「そうそう、その通りです。私がさっき機能的とか慣習的と言ったのは、そういうことが言いたかったのです。ここは自筆譜の通り、トリルを活かしましょう」

「27小節目の上声のトリルは、自筆にもあるみたいですが…」(図は省略)

先生「あまり乗り気じゃなさそうね(笑) そこは省略していいんじゃないかしら。これ以降、同じ音形では入れるとなると煩雑でもありますし…」

シンフォニア13番 31-36小節
シンフォニア13番 31-36小節

「35小節の上声部のトリルは、何となく流れ的に残したいです」

先生「なんだか曖昧な根拠ですね(笑) でも、フィーリングは間違ってないと思います。一つにはこの部分の上声は33小節から36小節1拍目にかけて主題をヘ長調で歌ってますよね。35小節にトリルを入れると一区切りする感じが強まります。ただ、それを言うと、冒頭第3小節のトリルなんかも入れた方がいいということになります。でも、35小節は、やはり別格。というのは、36小節から新しく32分音符を含んだリズミカルな動きの多いモチーフがでてくるでしょ?35小節にトリルを入れることで、その予兆のような意味を持たせられます。そよ風がさざ波を起こすように」

シンフォニア13番 7-12小節
↑シンフォニア13番 7-12小節

先生「次は、ゲルバーとフリーデマンの筆写版で追記されている装飾音のうち、採用した方が良さそうなのを探していきましょう。まず7小節。上声と中声にトリルがついてますね」

「この部分は、ホ短調のカデンツァなので付けるべきと思います!」

先生「上声も中声もですか?」

「…」

先生「中声は8小節1拍目まで主題。ということは、3小節目と同じで区切りを示すために入れてもいいのですが、他の同様の部分と合わせることになるでしょうね。ついでに言うと、中声にトリルを付けるのはハードル高い(笑) まず上声だけトリルつけましょう」

「ついでに、8小節目の高いソの運指ですが、何で左手が飛び越えないといけないのでしょうか?」

先生「あれ?どうなってるの?市田先生の運指は時々、私にもよく分かんない(笑) ここは、譜例に記入したように、オレンジを左手で、水色を右手で取ってください。私がこっそり使ってる(!)山崎孝先生の『演奏と指導のポイント』ではそうなってて、その方が自然だと思いますので」

シンフォニア13番 59小節~終結
↑シンフォニア13番 59小節~終結

先生「あとは、わざわざ追加する必要はないみたい。あっ、1か所あった!最後の方、62小節。右手のシに補充されてるトリル。ここはイ短調の属7ですから、いかにも次はイ短調の主和音になってそのまんま終わりそうに聞こえますよね。例えば水色で書き込んだラドラなんかで終わってくれれば、『あ~、カデンツァだったんだな』で終わり。なのですが、本当はカデンツァにまだ入っていなくて、1小節分ひと工夫してからピカデリー終止、イ長調の主和音で終わってますね。62小節のトリルを付けるとフェイントをかける感じが強まって面白いと、私は思います」

「これでスッキリできたので、装飾全くなしの「のっぺらぼう」からのスローテンポの譜読みにも身が入りそうです(^o^)丿」

先生「シンフォニア13番は萌えない、なんて言ってましたけど、結構気に入ってるじゃないの。安心しました」

バッハ以外にはチェルニー40-20をやって、「これ以上やっても、ダレるだけ。40-20は十分練習したので、出来はともかく(!)終了にして、最近やっていない音階的なのをやりましょう」ということになり、次は40-24になりました(*^▽^*)

今回のレッスンは、こんな感じです。
関連記事
スポンサーサイト



tag : バッハ,シンフォニア,

コメント

Secret

カレンダー
08 | 2020/09 | 10
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
タグから記事へGO!
キーワードから関連記事に飛べます♪♪

バッハ チェルニー40番 シンフォニア モーツァルト シューマン チェルニー ショパン ベートーヴェン 仲道郁代 リスト K.311 献呈 BWV862 メンデルスゾーン 幻想即興曲 毎日の練習曲 調律 平均律第1巻 ハイドン 近藤由貴 レンタル練習室 春の歌 青柳いづみこ Hob.XVI:34 ベトソナ22番 ロマンスOp.28-2 ハノン アラフィフ肩 フランス組曲 幻想曲 ブラームス シューベルト チェルニー30番 無謀曲 K.331 ららら♪クラシック ベトソナ10番 グリーグ 四十肩 BWV858 五十肩 ドビュッシー お菓子の世界 クラビノーバ エチュード 楽譜 パルティータ メトロノーム ベルサイユのばら 選曲会議 こんまりメソッド 変奏曲 インヴェンション スランプ ベトソナ ベトソナ28番 湯山昭 マズルカ 調性 自分の演奏好き? 練習曲 指先から感じるドビュッシー マリー・アントワネット さくらももこ ワルツ バラード2番 バラード 抒情小曲集 グランドピアノ 和声法 理想の先生 令和 D960 D959 ブルグミュラー K.576 旅する作曲家たち スケール ピアニストは指先で考える ウィンナ・ワルツ K.334 ピアノ椅子 イリーナ・メジューエワ ヨハン・シュトラウス 「亡命」の音楽文化誌 選曲 ヴァイオリンソナタ 好きな調 こんまり 電子ピアノ バイエル リズム変奏 チャイコフスキー ドゥシェック K.574 トルコ行進曲 部分練習 植山けい 土田京子 アルマンド 気象病 展覧会の絵 ムソルグスキー 交響曲 梅雨 24番練習曲 ソナチネ クレメンティ 久元祐子 リサイタル モシュコフスキー 左手のための24の練習曲 変イ長調 高橋多佳子 中村紘子 鷲田清一 響ホール 無言歌 マリア・テレジア スマホ老眼 北九州 指マッサージ op.118-2 カテゴリー ワルトシュタイン リシエツキ 間奏曲 チェンバロ ピヒト=アクセンフェルト 吉松隆の調性で読み解くクラシック op.119-2 ハプスブルク家 op.118-5 op.117-1 ハプスブルク帝国 ト長調 céleste ベレゾフスキー ピアノ記念日 ヴァイオリン ソナタ 楽譜の視覚効果 20の小練習曲 スマホ オスマン帝国 Hob.XVI:50 感情をこめて弾く 書き込み ピアノ騒音問題 演奏と喋り方 子供の情景 半音階的幻想曲とフーガ 小ジーグ クーラウ バックハウス ランラン ルービンシュタイン キーシン メソッド・タリアフェロ パスカル・ドゥヴァイヨン マズルカOp.7-1 ポロネーズ グランド・ソナタOp.37 カデンツ ツィメルマン 似合いそうな曲 魔笛 全音ピアノピース ラデツキー行進曲 ヨハン・シュトラウス1世 夜の女王のアリア 曲名の略称 ピアニストは面白い 山枡信明 プチトリアノン 妄想 ポルカ ウナコルダ 教則本 似合う曲 タグ 交響的練習曲 苦手な曲種 マーチ 左ペダル アルペジオ 行進曲 D915 アルベニス 整体師 リスト編曲版 全調スケール 平均律 半音階地獄 島村楽器 折々のことば 田部京子 オーストリア国歌 イギリス国歌 クリアファイル 練習崩壊 チェルニー24番 コピー譜 サンタクロース K.623a クリスマス 好きな作曲家ランキング ブルグミュラー18の練習曲 五線紙ノート 宮川彬良 伊藤恵 声部書き分け 田園ソナタ 和声法がさくさく理解できる本 マリア・ジョアン・ピリス トロイメライ クララ・シューマン クラシックキャットトートバッグ 近藤麻理恵 お片付け祭り 愛の挨拶 エルガー 上原彩子 川嶋ひろ子 ベトソナ16番 ベトソナ18番 内田光子  K.310 K.570 モーツァルトの手紙 礒山雅 飛躍 アンドラーシュ・シフ 静寂から音楽が生まれる ルール・ブリタニアによる5つの変奏曲 コンサート動画 千住真理子 巡礼の年報 18の小品Op.72 ラフマニノフ 前奏曲 マスタークラス エキエル 新型コロナ カウンセリング 音楽における十字架 ペダル マズルカOp.59-2 譜読み力 NHKスーパーピアノレッスン ピアノトリオ リピート練習 ベアトリーチェ・ヴェネツィ 自分褒め ピアノソナタ2番Op.22 看護師の日 ナイチンゲール リピート付箋 ベートーヴェン生誕250周年 和声法がぐんぐん身につく本 合奏譜 クロスリズム イタリア協奏曲 ブランデンブルク協奏曲 減7の和音 まるむし帳 短音階 導音 諸井三郎 アップライト 脱力 音色 タッチ D946 駅ピアノ スマホ認知症 ラ・カンパネラ 復習 フランス王妃の受難 岩城宏之 N響 庄司紗矢香 哀しみ 丑三つ時 ポーランド 楽典 K.533+494 永遠のショパン ゆっくり弾き クラシック・エイド グラナドス 「聴く」ことの力 三瀬高原音楽祭 プレイエル 電子書籍 K.412 K.537 バトン リヒャルト・シュトラウス 英雄の生涯 ピアノ愛好者16の質問 幻想曲あるいはカプリス クラ―マー=ビューロー トンプソン ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら 電子メトロノーム 伝説 ヴィルヘルム・ケンプ おんぶにだっこ つるかめ算 m.g. m.d m.s. チェルニー50番 ダイエット リズム練習 スタッカート練習 ブログ 恋するクラシック 手ペシ K.543 演奏会用練習曲 貴婦人の乗馬 スティリアの女 ノクターン K.457 小プレリュードと小フーガ フォーレ 田島令子 シュタイヤー舞曲 音楽と文学の対位法 ら抜き言葉 

プロフィール

NekoUshi

Author:NekoUshi
◆数年おきにピアノがマイブームになり、挫折と再開を繰り返しています。
◆バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンが特に好きです♪
◆レッスン歴は、子供の頃と大学生の頃(25年ほど前)に少々。現在は独学です。
◆独学の記録を時々「セルフレッスン」という名の仮想(妄想?)レッスンの形に仕立てて書いてます♪

練習中&終了曲
◇レッスン課題
・チェルニー40-31番
・バッハ 平均律第1巻17番 変イ長調
・ベートーヴェン ソナタ第22番ヘ長調

◇ベートーヴェン祭り
・ベートーヴェン ソナタ第28番イ長調~第3楽章

◇自主練
・チェルニー『毎日の練習曲』2番

◇憧れの無謀曲 寝かせ中
・リスト『バラード 第2番』
・シューマン『幻想曲』第2楽章

◇2020年の終了曲
・シューマン 3つのロマンス~第2番 嬰へ短調 Op.28-2

◇2019年の終了曲
・チェルニー30-23番
・チェルニー40-27、28、29、30番
・チェルニー左手24-19番
・バッハ シンフォニア14番、12番、7番
・ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第10番ト長調~第1楽章
・ショパン『幻想即興曲』
・メンデルスゾーン『春の歌』

リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ご訪問者さまに感謝♥
にほんブログ村参加中
にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ
クリックよろしくお願いします<(_ _)>

検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR