FC2ブログ

無謀曲ならぬ無謀本!!『音楽と文学の対位法』(青柳いづみこ)

前回の記事で触れた無謀曲ならぬ無謀本(笑)、青柳いづみこさんの『音楽と文学の対位法』の読書メモをお届けします~~
読書メモというか、厳密に言うと、読もうと思って玉砕した記録です\(◎o◎)/!

まずは、どういう本か、背表紙に書いてあった概要を紹介しますと、

モーツァルト、シューマン、ショパン、ワーグナー、ラヴェル、ドビュッシー。六人の大作曲家は同時代の文学とどう関り、互いにどう影響し合ったのか。音と言葉を往還するモノ書きピアニストならではの切り口で、名曲誕生の背景に光を当てた比較芸術論。


第1章は、『モーツァルト――カメレオンの音楽』。
この章は、何が書いてあるかは分かりました。モーツァルトの音楽の気まぐれというか変わり身の速さについてです。明と暗や、深刻さと能天気さ(笑)の間をいきなりワープしてしまうような感じ。私自身「モーツァルトの音楽って、聴くにせよ弾くにせよ、真剣に追いかけて行こうとすると身をかわされる感じがする。モーツァルトの手紙の文章と同じ」と前から密かに思っていたので、この章には納得できました。

第2章は、『シューマンとホフマンの「クライスレリアーナ」』。
シューマンと言えば、E.T.A ホフマンです。この章は王道の取り合わせです。ホフマンは「作曲もする小説家」だし、シューマンは文学に傾倒した音楽家。二人とも音楽評論を書いています。ホフマンの音楽評論集「クライスレリアーナ」にインスピレーションを得てシューマンが『クライスレリアーナ』を作曲したのは有名な話ですね。
シューマンの音楽評論の主役は架空の団体「ダヴィッド同盟」です。男性的、攻撃的人格を表したフロレスタン、女性的、内向的人格を表したオイゼビウス、中庸を守る秩序と規範の象徴ラロ、筆記者のユリウス…。中心となるのはフロレスタンとオイゼビウスで、彼らの架空の会話によって話が進むのです。「ダヴィッド同盟」はシューマンの音楽の世界にも進出して(ダヴィッド同盟舞曲集とか…)、まさにこの本のタイトル通り「音楽と文学の対位法」を織りなしています。
で、ふと気づいたのが、私のレッスン記みたいだな、と(笑) 架空の先生と生徒がレッスンを進めてる。シューマンに関心を持ってしまうのも当然かも、と妙に納得が行きました。

第3章は、『ショパンとハイネ』。
前半は画家のドラクロワなんかがメインで、ショパンとジョルジュ・サンドの話を展開していたりして、主題はどこ?的な状態です(笑) 中盤以降、ショパンと並ぶ主役は、ドイツの抒情詩人ハインリッヒ・ハイネ。名前は聞いたことある気がするけど作品を読んだ記憶はありません。ハイネを登場させた、いづみこ先生の意図は「反ロマン主義」という共通点に着目したということらしいです。
ハイネは『フランスの舞台芸術について』という本の中で、ショパンについて、

彼はヴィルトゥオーゾであるばかりか、詩人でもあります。自分の魂のなかに生きるポエジー(詩情)を具現化することができるのです。彼は音の詩人であり、…、もはやポーランド人でもドイツ人でもないのです。もっと高貴な出であることが分かります。私たちは、ショパンモーツァルト、ラファエロ、ゲーテと同じ国の出であること、彼の祖国がポエジーの夢の国であることに気づくのです。


と、書いているそうです。そして、いづみこさんによれば、音楽はポエジーを感性に直接働きかけることができるのでドイツ・ロマン派の詩人にとって憧れの的だったらしい。詩は言葉を介して働きかけるので、言葉が持つ冷静に思考する理性というくびきを外しにくいのに対して、音楽はそういう回り道から解放されているから素晴らしい、ということです。言葉は思想を明確に定義してしまうが、音楽はそうではない、というような表現もしています。ショパンの時代はロマン派が台頭してきて、音楽を文学的に作ったり解釈したりする風潮が高まってきます。ショパンはこうした傾向に反対で、標題なんてもってのほか!!なのです。音楽はせっかくポエジーを直接感性に届けられるのに、それを文学にかぶれて言葉を介して遠回りするとは何事か(←いづみこ先生の文を意訳するとこんな感じで間違いないはず)とショパンは思っただろうなぁということです。
このショパンに関する章も、なるほど!!と思いました。そういえば、なかみっちゃんも音楽と言葉について「音楽は不完全な伝達手段だからこそ、意味が一つに固定されていなくて素晴らしい」的なことを言っていた記憶があります。

第4章は、『ワーグナーと倒錯のエロス』。
いや、正直言って何書いてあるのか全然分からなかったです(笑)
途中で放棄して次の章に進みました(^^;;

第5章は、『ラヴェルとレーモン・ルーセル』。
私にはイマイチよく分からないラヴェルの世界を理解する手掛かりになるかな?と淡い期待をして読んでみたのですけど、やっぱり分からなかったです(*_*; ラヴェルさん、聴いている分には素敵なのですが、弾こうという気は今のところほとんど皆無です。よく分からないまま次の章に進みます。

第6章は、『ランボーの手、ドビュッシーの手』。
いづみこ先生の専門、ドビュッシーの登場です(ラヴェルもご専門ですが)。ドビュッシーの音楽学生時代の話が面白かったです。ドビュッシーは、即興の名手ではあったのだけど、手が不器用でピアノ科の成績は散々(特にベートーヴェンが苦手らしい)、和声学も禁則(平行4度、平行5度、平行8度)を犯しまくって、これまた落第生。作曲では何とかコンクールの大賞をとれたものの「不明瞭な調性、適正音域や音色をほとんど無視して書かれた声部やいくつかの混乱がある」と批判が新聞に載ったらしいです(^^;; 25年ぐらい前のリアルのレッスンで初めてドビュッシーの曲がレッスン曲候補に挙がった時に私が感じたことを正確な文章にすると、まさしくその批評の通りのことを感じていたような気がします。先生に「あんまり気乗りしない感じね~~」と言われてお蔵入りしました。でも、そういうところこそ、ドビュッシーの魅力なんですけどね。
いづみこさんは、

いくら突飛な和声で人々を驚かせても、ドビュッシーには、自分の音楽言語は常に有機的で、人を楽しませる美、感じ取ることのできる美の範疇を越えないという認識があった。実際に、ドビュッシーの和声言語は、十三の和音のように革新的なものでも広義の自然倍音列のなかにおさまっている。有機的な語法にとどまりながら「可能なかぎり遠くに行く」のがドビュッシーの目的で、…


と、書いています。音楽は美しくなければならないということですね。これはモーツァルトの精神と同じです。ワーグナーとラヴェルの章を飛ばしてしまいましたが、これで何とか「対位法」が繋がった気がします(≧▽≦)

無謀本の読書、とても骨が折れましたけど、それに、全部は読めませんでしたが、でもそれなりに楽しかったです~~(^^♪


にほんブログ村
スポンサーサイト



tag : 青柳いづみこ,音楽と文学の対位法,モーツァルト,ショパン,ドビュッシー,

カレンダー
03 | 2020/04 | 05
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
タグから記事へGO!
キーワードから関連記事に飛べます♪♪

バッハ シンフォニア チェルニー40番 シューマン モーツァルト ショパン チェルニー 仲道郁代 ベートーヴェン リスト K.311 献呈 幻想即興曲 メンデルスゾーン ハイドン レンタル練習室 春の歌 近藤由貴 BWV862 青柳いづみこ Hob.XVI:34 ハノン 調律 ロマンスOp.28-2 幻想曲 平均律第1巻 ベトソナ10番 K.331 グリーグ 無謀曲 ブラームス チェルニー30番 BWV858 ららら♪クラシック ドビュッシー フランス組曲 シューベルト 選曲会議 ベトソナ 湯山昭 こんまりメソッド エチュード 四十肩 五十肩 ベルサイユのばら お菓子の世界 楽譜 アラフィフ肩 変奏曲 ベトソナ22番 指先から感じるドビュッシー クラビノーバ 抒情小曲集 バラード2番 さくらももこ メトロノーム 和声法 パルティータ マリー・アントワネット バラード ワルツ 練習曲 インヴェンション 調性 自分の演奏好き? グランドピアノ ウィンナ・ワルツ 久元祐子 スマホ老眼 クレメンティ 指マッサージ リズム変奏 トルコ行進曲 K.574 展覧会の絵 ムソルグスキー 電子ピアノ 鷲田清一 左手のための24の練習曲 リサイタル モシュコフスキー ドゥシェック バイエル D960 D959 マズルカ 理想の先生 ヨハン・シュトラウス 選曲 スケール アルマンド イリーナ・メジューエワ 中村紘子 ソナチネ 土田京子 好きな調 K.334 ピアニストは指先で考える 植山けい 交響曲 響ホール ピアノ椅子 「亡命」の音楽文化誌 ブルグミュラー 北九州 部分練習 ヴァイオリンソナタ 旅する作曲家たち 令和 こんまり クララ・シューマン 子供の情景 半音階的幻想曲とフーガ 田園ソナタ 演奏と喋り方 ツィメルマン ピアノ騒音問題 書き込み スマホ トロイメライ マリア・ジョアン・ピリス 声部書き分け 五線紙ノート 20の小練習曲 感情をこめて弾く 伊藤恵 変イ長調 宮川彬良 楽譜の視覚効果 左ペダル ウナコルダ アルペジオ つるかめ算 伝説 m.g. m.s. 全音ピアノピース ラデツキー行進曲 ヨハン・シュトラウス1世 ポルカ ヴィルヘルム・ケンプ 行進曲 タグ 和声法がぐんぐん身につく本 交響的練習曲 オスマン帝国 似合う曲 合奏譜 マーチ 苦手な曲種 教則本 おんぶにだっこ 和声法がさくさく理解できる本 エルガー サンタクロース クリスマス コピー譜 クリアファイル ベトソナ28番 メソッド・タリアフェロ K.623a リスト編曲版 全調スケール オーストリア国歌 イギリス国歌 バックハウス ランラン 譜読み力 NHKスーパーピアノレッスン マズルカOp.59-2 毎日の練習曲 ベトソナ18番 ベトソナ16番 ルービンシュタイン キーシン 練習崩壊 チェルニー24番 整体師 パスカル・ドゥヴァイヨン お片付け祭り ブルグミュラー18の練習曲 小ジーグ 好きな作曲家ランキング Hob.XVI:50 近藤麻理恵 川嶋ひろ子 魔笛 愛の挨拶 クラシックキャットトートバッグ クーラウ 島村楽器 チャイコフスキー 半音階地獄 カデンツ 平均律 グランド・ソナタOp.37 ポロネーズ 折々のことば 田部京子 マズルカOp.7-1 無言歌 上原彩子 曲名の略称 ゆっくり弾き アルベニス 「聴く」ことの力 シュタイヤー舞曲 三瀬高原音楽祭 グラナドス フランス王妃の受難 まるむし帳 導音 短音階 復習 音楽と文学の対位法 電子書籍 フォーレ 岩城宏之 哀しみ ペダル N響 庄司紗矢香 プレイエル 永遠のショパン 田島令子 K.533+494 減7の和音 クロスリズム K.412 タッチ 音色 脱力 K.576 K.537 恋するクラシック 手ペシ 演奏会用練習曲 K.543 スタッカート練習 D946 諸井三郎 スティリアの女 ブランデンブルク協奏曲 イタリア協奏曲 アップライト 貴婦人の乗馬 ブログ 駅ピアノ ラ・カンパネラ スマホ認知症 丑三つ時 楽典 吉松隆の調性で読み解くクラシック op.118-2 間奏曲 ピアノ愛好者16の質問 ピアノ記念日 ヴァイオリン op.117-1 céleste トンプソン 幻想曲あるいはカプリス バトン リヒャルト・シュトラウス ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら リズム練習 電子メトロノーム m.d 妄想 プチトリアノン D915 ピアニストは面白い 英雄の生涯 山枡信明 op.118-5 op.119-2 気象病 ソナタ ハプスブルク帝国 ハプスブルク家 カテゴリー ワルトシュタイン ポーランド ノクターン ら抜き言葉 似合いそうな曲 マリア・テレジア K.457 ダイエット チェルニー50番 クラ―マー=ビューロー ト長調 チェンバロ 小プレリュードと小フーガ ベレゾフスキー 高橋多佳子 ピヒト=アクセンフェルト リシエツキ 夜の女王のアリア 

プロフィール

NekoUshi

Author:NekoUshi
◆数年おきにピアノがマイブームになり、挫折と再開を繰り返しています。
◆バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンが特に好きです♪
◆レッスン歴は、子供の頃と大学生の頃(25年ほど前)に少々。現在は独学です。
◆独学の記録を時々「セルフレッスン」という名の仮想(妄想?)レッスンの形に仕立てて書いてます♪

練習中&終了曲
◇レッスン課題
・チェルニー40-31番
・ベートーヴェン ソナタ第22番ヘ長調

◇ベートーヴェン祭り
・ベートーヴェン ソナタ第28番イ長調~第3楽章

◇一時休止中
・バッハ 平均律第1巻17番 変イ長調

◇憧れの無謀曲 寝かせ中
・リスト『バラード 第2番』
・シューマン『幻想曲』第2楽章

◇2020年の終了曲
・シューマン 3つのロマンス~第2番 嬰へ短調 Op.28-2

◇2019年の終了曲
・チェルニー30-23番
・チェルニー40-27、28、29、30番
・チェルニー左手24-19番
・バッハ シンフォニア14番、12番、7番
・ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第10番ト長調~第1楽章
・ショパン『幻想即興曲』
・メンデルスゾーン『春の歌』

リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンター
にほんブログ村参加中
にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ
クリックよろしくお願いします<(_ _)>

検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR