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面白すぎる、『ピアニストは面白い』by 仲道郁代

今年の私から私へのお年玉、仲道郁代さん(以下なかみっちゃん)のエッセイ『ピアニストは面白い』(春秋社)を2、3回読んだので、記事にしてみようと思います。

この本の中にも出てくるし、本の帯にもキャッチコピーとして書いてある「GOING MY WAY わがみちいくよ」の一言がとても印象的です。韻をうまく踏んでて、分かりやすくて素敵です。「猫は丑三つ時にピアノを弾く」のNekoushiとは大違いΣ( ̄ロ ̄lll)!!

さて、本の中身ですが、全編にわたって面白すぎます!!
ピアニストは面白い』というタイトルですが、面白いのは、なかみっちゃんです(笑)
紹介したいところが多過ぎて、紹介しようがないよ、これ…。どうしましょう。
まあ、でも、頑張ってみます。

前半は、ピアニストになるまでの、日本、アメリカ、ドイツでの生活について書かれています。
日本で「ピアノ道」を学び、アメリカで「楽しむこと」を学び、ドイツで「本場のクラッシック音楽」を学んだ結果、ピアニスト仲道郁代が完成したのですね。
本の中では面白おかしく書いてますが、本当に努力家で、でも悲壮感が漂ってなくて、そういうところが何とも素敵です。
あと、最初の方に出てくる幼少時のオルガンを弾いている写真が衝撃的!!堂々とし過ぎて、全っっ然可愛くない(笑) でも、ご本人も「ルービンシュタインみたい」と書かれている通り、大物の雰囲気を漂わせているのは間違いないです。必見の写真なのですが、ぜひ実際に見てみてくださいとしか言いようが…。

真ん中あたりには、「子連れピアニストが行く」という章があって、子育て日記と、子育てしながらの演奏家生活についてのエッセイです。そんな生活、どう考えても大変に決まってるのだけど、ここでも悲壮感なく、あくまで前向き。なんと、一日を三日と考えることにしたらしい(^^; 「毎日を何次元もの生活にすれば、すべてに何日もの時間があることに気が付いた」そうで、なかみっちゃんの命名によれば「一日三日間法」。これ、かなり参考にしたいかも。
娘さんのピアノについてはかなり苦戦された模様。お子さんのピアノのレッスンでお悩みのお母さんにとっては、何だか親近感が湧くのではないかと思います。そして、娘さんとのやり取りが、これまた笑える(特に娘さんのほう…笑)。
あ、そういえば、育児日記でも衝撃的なことがありました。娘さんと蝶の採集をしてたらしいのですが、その時に捕まえた蝶を少し圧迫して気絶させないと虫かごの中で暴れて羽根が傷む。で、圧力のかけ方が微妙で、失敗すると文字通り圧死するって力説してたΣ(゚д゚lll)!!なかみっちゃんってば、意外とワイルドな一面があるのですね(笑) てっきり虫を怖がるタイプかと思ってたので、ギャップ萌えのあまり、思わずネタバレしちゃいました。

後半は、音楽について考えていること色々で、面白い上に一段と内容が濃くなります。

なかみっちゃんによれば「ピアニストは探偵」だそうです。楽譜、楽器を駆使して作曲家像に迫るのだけど、それは感覚やひらめきを頼りにということではなく、論理的に迫らなければいけない。「説明できないものは、解釈とは言えない」とのことで、言葉で音楽を説明することの重要性は、後半で繰り返し出てきます。
曲から色々な作曲家の手を想像してみるという箇所もあったりして楽しめます。例えば、ベートーヴェンに指圧をしてもらったら気持ちよさそうとか書いてあって、やっぱり面白い。
そういえば、私が時々悩みとして書いているドビュッシーの弾き方についても、すごく参考になる記述がありました。ペダルは控えめに、音はもわっとではなくくっきり、チェルニーのように弾いてはいけなくてフランス語の発音を意識して、という感じらしく、「おお、なるほど!」と思いました(備忘録として例外的にネタバレ)。
ベートーヴェンのソナタ全曲録音をするにあたって、諸井誠先生という作曲家の偉い先生に徹底的にレクチャーをしてもらったり、すごく研究熱心な面も見せてくれます。

クラシック音楽が、ピアニストが社会にどうやって貢献できるかについてもかなり真剣に取り組まれています。学校を訪問するアウトリーチだったりとか、音楽を通して色々な体験をするワークショップだったりとか。
残念ながら今は行われていませんが、クラシック音楽を普及させる取り組みとしての、お芝居とコンサートを融合させた「仲道郁代の音楽学校」「ゴメン!遊ばせクラシック」についての話も、とても興味深かったです。第一部で曲についての自問自答を基に演出家に作ってもらったお芝居をする(それに出演もする!)、そして第二部でその曲を演奏するという構成だそうです。曲についての自問自答って、そういえば、私のセルフレッスンに通じるものがあると思って、ますます勝手に親しみがわきました。
言葉と音楽の関係が再び強調されます。「(音楽を)言葉を使って、考え整理し。そして、最後にその言葉までも解き放った瞬間、そこにあるものが、意味を持った音楽だ。だから素晴らしい」。

結びの方で、「私はピアノの音に涙する」という詩的なセクションがあって、すごく感動したので、少々長くなりますが引用します。

私はピアノが好きだ。ピアノを弾くことが大好きだ。
ピアノは私を善きものに導いてくれる。
ピアノの音は私を浄化してくれる。
ピアノの音は私に人生を教えてくれる。
私の感覚を細やかにしてくれる。
(中略)
人は、音によりつながることができる。
音は、人の生き様をも表現する。
生き様に共鳴し、つながっていく人間がいる。
音を鳴らす瞬間、弾く人、聴く人、みな生きている。
存在が、そこにある。
(中略)
ピアノの音に人は涙する。
ピアノの音は言葉でもあり、言葉以上でもある。すべての人間的感覚を内包する。
心から心への純粋なメッセージを語ることができる。
私はそんな時を、ピアノとともに持つことができる。
私はピアノの音に涙する。



この本を読んでみて、なかみっちゃんの魅力の一番のもとは、好奇心旺盛なところかなぁと思いました。
本当に色々なことにアンテナを張り巡らして、関心を持ったことにはチャレンジされてる。そういうところが演奏やお話からよく伝わってくる気がしました。
「演奏は偉大な遊び」とも書いてらっしゃいました。真摯かつ遊び。だからこそ心に響く演奏ができるのだと思います。

「なかみっちゃん」なんて馴れ馴れしく呼んでますが、本当は尊敬しています。
一応、念のため(笑)
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tag : 仲道郁代,ピアニストは面白い,ドビュッシー,

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プロフィール

NekoUshi

Author:NekoUshi
◆数年おきにピアノがマイブームになり、挫折と再開を繰り返しています。
◆バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンが特に好きです♪
◆レッスン歴は、子供の頃と大学生の頃(25年ほど前)に少々。現在は独学です。
◆独学の記録を時々「セルフレッスン」という名の仮想(妄想?)レッスンの形に仕立てて書いてます♪

練習中&終了曲
◇レッスン課題
・チェルニー40-31番
・バッハ 平均律第1巻17番 変イ長調
・ベートーヴェン ソナタ第22番ヘ長調

◇ベートーヴェン祭り
・ベートーヴェン ソナタ第28番イ長調~第3楽章

◇自主練
・チェルニー『毎日の練習曲』2番

◇憧れの無謀曲 寝かせ中
・リスト『バラード 第2番』
・シューマン『幻想曲』第2楽章

◇2020年の終了曲
・シューマン 3つのロマンス~第2番 嬰へ短調 Op.28-2

◇2019年の終了曲
・チェルニー30-23番
・チェルニー40-27、28、29、30番
・チェルニー左手24-19番
・バッハ シンフォニア14番、12番、7番
・ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第10番ト長調~第1楽章
・ショパン『幻想即興曲』
・メンデルスゾーン『春の歌』

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