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NekoUshiの音楽帖+α

ピアノを弾き散らかし、音楽を聴き散らかし、音楽と戯れています。

 

読書メモ『マリー・アントワネットとマリア・テレジア 秘密の往復書簡』

1月ぐらいから「気になる本候補」に入っていた『マリー・アントワネットとマリア・テレジア 秘密の往復書簡』 (パウル・クリストフ 編‎、 藤川芳朗訳、岩波人文書セレクション) を、数か月かかって、やっと読み終わりました。そして、読書メモコーナーで取り上げる、記念すべき初の音楽書以外の書籍です!内容は、書名そのまんまで、マリー・アントワネットと母上マリア・テレジア女帝がやり取りした手紙を集めたものです。1770年...

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1月ぐらいから「気になる本候補」に入っていた『マリー・アントワネットマリア・テレジア 秘密の往復書簡』 (パウル・クリストフ 編‎、 藤川芳朗訳、岩波人文書セレクション) を、数か月かかって、やっと読み終わりました。そして、読書メモコーナーで取り上げる、記念すべき初の音楽書以外の書籍です!

内容は、書名そのまんまで、マリー・アントワネットと母上マリア・テレジア女帝がやり取りした手紙を集めたものです。1770年にアントワネットさんがハプスブルク家からフランス王太子ルイ16世に嫁いでから、1780年にマリア・テレジアが亡くなるまで、10年間にわたって実に約170通!!

それまで敵対していたフランスとハプスブルク帝国を結びつけるための政略結婚ですから、普通の母子の手紙のやり取りとはワケが違います。テレジアさんは、駐仏オーストリア大使メルシーをアントワネットさんの監視役(というかスパイ)にして、色々報告させて、それに基づいて説教したりアドバイスしたりしています。「人事に介入するな」とか「もっと勉強しなさい」とか「いい加減に遊びはやめなさい」とか「乗馬は控えなさい」とか…。乗馬を控えるというのは、流産しないようにということです。昔のヨーロッパの王侯貴族の夫人は、意外と懐妊に気づかずに乗馬して流産してしまう例が多かったようです。
賭け事をしてはいけませんという説教で「私も熱中したことがありますが、損するばかりでいいことありません」なんて内容のことを書いているのは、思わず笑ってしまいました。あ、血は争えないのか、と…(笑)

テレジアさんの手紙で辛辣なのは、例えば下記の2つのような調子です。
「あなたの美しさ、それは実際にはさほどのものではありません、それにあなたの才能や知識(そんなものが存在しないことはご存知でしょう)、これらによってあなたはみんなの敬愛を得てきたわけではありません。それはひとえにあなたのやさしさと率直さと心遣いによるものであり、しかもあなたがたいそう健全な感覚でもってそうした持ち味を発揮してきたからなのです」
「あなたの幸せは一変するかもしれず、あなたは自分の至らなさのためにこの上ない不幸に陥るかもしれないのです。それはこれまで恐るべき享楽欲に身をまかせ、王妃として身を入れてするべきことに時間を割かなかった結果です」

テレジアさんとしては、ハプスブルク帝国の命運と娘の幸せを願って必死なわけです。
アントワネットさんの方は、母上のお説教にたいして「いや、そういう噂が流れてますが根拠のないことです」的な言い訳をしたりするのですが、優秀なスパイ(!)メルシー伯爵が逐一報告しているから、嘘はあっさりバレてしまう(^^;; 
でも、アントワネットさんって、勉強嫌いなだけで頭が悪いわけではないという印象を受けました。外交とか戦争上の出来事の意味をきちんと理解した内容の手紙を書いていたりもします。後年の革命裁判の尋問での切り返しでも、頭の回転めっちゃ速かったし…。

もちろん、テレジアさんは厳しいだけではなく、愛情にあふれた手紙も沢山書いています。ただ、何事にも優秀な母と、ちょっと危なっかしい娘の、すれ違いがやはり一番印象に残ります。両者それぞれのやり方で、なんとかギャップを埋めようと必死に見えるのですが、そこがまた人間らしくていい。
読むのにかなり時間がかかりましたが、読み応えがありました。読み応えあり過ぎて疲れましたが…(笑)

それから、面白かったのが、あとがきに書いてあったのですが、西洋人は書簡集をあくまで史料として客観的に読み、日本人みたいに感情移入しながら読まないらしいです。ちょっと不思議な感覚です。
手紙つながりで、次はアマデウスの書簡集を読んでみたくなりました。断片的にしか読んだことないので。
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* Category : その他の書籍

Tag: マリー・アントワネット, マリア・テレジア, ハプスブルク家, ハプスブルク帝国, | Comment-open▼ * Comment : (2)

NoTitle * by ねこぴあの
これはとても興味深い記事でした。
ベルばら世代なので大人になってからネットであれこれ検索して当時のことを調べたりしたこともあります。このような記録があったのですね。

>西洋人は書簡集をあくまで史料として客観的に読み、日本人みたいに感情移入しながら読まないらしいです。ちょっと不思議な感覚です。

驚きました。そうなんですね~。

マリアテレジアさんの辛辣な言葉、すごいですね・・・・あまりにも的を得ているというか・・・娘の長所も短所も今後の予測もすべてお見通しだったのですね。

アマデウスの書簡集も面白そうです。
あの映画は史実に基づくものなのか?実際はどうだったのか?とても興味があります。
自分では絶対に読まないと思いますが(笑)、Nekoushiさんが記事にしたら必ず読みます!(笑)

To:ねこぴあのさん * by Nekoushi
ねこぴあのさん、コメントありがとうございます~~
想定読者の1人は、ねこぴあのさんだったので、興味を持っていただけて、とても嬉しいです。

> ベルばら世代なので大人になってからネットであれこれ検索して当時のことを調べたりしたこともあります。このような記録があったのですね。

昔から、マリー・アントワネット関連の最重要史料ですね。
池田理代子さんも、かなりお世話になったらしく、この本に推薦コメントを書いてます。

> マリアテレジアさんの辛辣な言葉、すごいですね・・・・あまりにも的を得ているというか・・・娘の長所も短所も今後の予測もすべてお見通しだったのですね。

母上恐るべし!!です(^^;;
マリアテレジアさんは、頭いいし、政治・外交の手腕は凄いし、若い頃はものすごい美人だし、16人の子沢山だし…。
こんな優秀な母の娘って、大変でしょうね~

アマデウスの書簡集は、いつかしっかり読みたいです(*^▽^*)
記事にしたら、読んでやってくださいね。