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お気に入りの詩3編―『まるむし帳』より

ピアノの詩人といえば、言うまでもなくショパン。詩人のヨシフ・ブロツキーは、「詩人というのは言葉を削る人。削って削って、残されたひとつひとつの言葉はリズムも香りも内容もすばらしい。それが詩になる」という意味のことを言っているそうです。ピアニストのイリーナ・メジューエワさんは著書『ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ』で、そのような詩人の世界は複雑かつシンプルで、そこがショパンの世界に通じると、指摘しています。そういうわけで、ショパン好きにとっては、詩は身近な世界(の割には私はあんまり詩に接する機会はないのですが…)。

前置きはこれぐらいにして、今回は、さくらももこさんの詩集『まるむし帳』から、私が心惹かれる詩を3編ご紹介したいと思います。

1つ目は『有無』という詩です。

無の状態は
真白なのか
真黒なのか
白なら白が在り
黒なら黒が在り
両方とも違うのなら
無が在り
何も無いのに
無いことが在ることになる


「有」と「無」についての哲学的な詩ですね。「無」と「有」の対比、「白」と「黒」の対比が印象的で素敵です。ピアノ好き、音楽好きとしては、「白と黒」から鍵盤を連想し、「有と無」からは「休符も音楽」ということも連想してしまいます。

2つ目は『ひとときの何人』という詩です。

1秒前のわたしを取り出すには
0.1秒前のわたしも
0.01秒前のわたしも
0.001秒前のわたしも
0.0001秒前のわたしも
0.00001秒前のわたしも
何人も何人も何人も何人も
必要だよ。
一瞬は永遠を内包しているね。
永遠は まばたきなのかな。


一瞬と永遠、極小と無限大は表裏一体ということでしょうか。これまた哲学的な世界ですね。
そして、繰り返しによるリズム感が素敵です。0.1秒から0.0001秒まで積み重ねていくあたり、モーツァルトが手紙でよくやっているような言葉遊びも連想します。

3つ目は『かなしい子供』という詩です。

いつか別れる悲しさが
出会ったときに
生まれる子供。

その人のことが
大好きになればなるほど
その子は大きくなってゆくよ。

その子を
置き去りにして
一番早くに
行ってしまいたいと
ときどき思う
わたしは弱い母親です。


別れに対する不安を子供に、その不安が大きくなっていくのを子供の成長に例えているわけですね。敢えて子供の成長という喜ばしいものに例えることによる対比が、強い印象を与えて効果を上げているような気がします。
この詩の気持ちは、とてもよく分かります。私も「別れ」というのはすごく苦手です(>_<) ショパンの『別れの曲』は、曲自体は好きなのに、そのタイトルゆえに弾くのがためらわれます。しかも、ショパン本人が付けたタイトルではないにもかかわらず、曲調とタイトルがあまりにもマッチし過ぎているので、なかなか練習する気になれません(´;ω;`) ←どんだけ”別れ恐怖症”なんだろう??この点、ベートーヴェンの『告別ソナタ』は、同じようなタイトルでも全然違いますね!第1楽章が「告別」、第2楽章が「不在」、第3楽章が「再会」を表しているので、前向きな気分になれます(*^▽^*) いや、優劣の問題でもなく、好き嫌いの問題でもなく、単に気分の問題です。

この詩集は、作者が20代の頃の作品だそうです。
あらためて凄いなぁと思いながら読んでいます。


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tag : さくらももこ,まるむし帳,

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プロフィール

NekoUshi

Author:NekoUshi
◆数年おきにピアノがマイブームになり、挫折と再開を繰り返しています。
◆バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンが特に好きです♪
◆レッスン歴は、子供の頃と大学生の頃(25年ほど前)に少々。現在は独学です。
◆独学の記録を時々「セルフレッスン」という名の仮想(妄想?)レッスンの形に仕立てて書いてます♪

練習中&終了曲
◇レッスン課題
・チェルニー40-31番
・バッハ 平均律第1巻17番 変イ長調
・シューマン 3つのロマンス~第2番 嬰へ短調 Op.28-2
・ベートーヴェン ソナタ第22番ヘ長調

◇ベートーヴェン祭り
・ベートーヴェン ソナタ第28番イ長調~第3楽章

◇憧れの無謀曲 寝かせ中
・リスト『バラード 第2番』
・シューマン『幻想曲』第2楽章

◇2019年の終了曲
・チェルニー30-23番
・チェルニー40-27、28、29、30番
・チェルニー左手24-19番
・バッハ シンフォニア14番、12番、7番
・ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第10番ト長調~第1楽章
・ショパン『幻想即興曲』
・メンデルスゾーン『春の歌』

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